「何も悪いことはしていないのに」
「がんばって生きてきたのに」
思うように体を動かせなくなった母が半泣きで言うセリフです。
芝居がかっていて、それを聞くと笑ってしまうのだけど、当人は本気であり、しんみりします。
頭と身体の機能が衰えていくのは悪だと感じさせられる時があり、認知症予防とか、そのための脳トレ、ロコモ予防の筋トレ、と聞くとモヤっとした苛立ちを感じます。
その取り組み自体は良いことだけど、これをしないと認知症になると脅されるような、しなかったからなった、その状態はすごく悪いと責められるように受け取れるのです。
ああはなりたくないと思われる対象。
なりたくてなったわけではない。
老い方、死ぬまでの体の状態は自分でコントロールできないと思うので、「ピンピンコロリ」も亡くなるまでは人に迷惑をかけるなと言外に匂わせているようで、嫌いです。
益田ミリさんのすーちゃんシリーズで、すーちゃんがひとりで年を取っていくのだから誰にも面倒をかけないようにしようと決意するけれど、こんな気持ちは今介護されている人に対して失礼であり、傲慢ではないかと気づくシーンがありました。うろ覚えだけど。
わたしも、無自覚に人を傷つける言葉をたくさん発してきたんだろうな。
かつてのバイト先で一緒だったさわ子さんは、寝たきりのおばあさんを介護しているお母さんを手伝いながら暮らしています。
さわ子さん宅を訪ねた時のすーちゃんのおばあさんへの接し方にほろりときました。
すーちゃんは人間として大切なものを持っている。